
マッチしてから、やり取りはすぐに続いた。
返信も早いし、話も噛み合う。
正直、「今回はいい感じかも!」と思ってた。
自然な流れで、初デートの話になった。
「今度ご飯でも行こうよ」
そう送ると、相手もすぐにOKしてくれた。
ここまでは、何も違和感はなかった。
──ただ、ここから少しずつズレ始める。
日程を決めようとすると、なぜか毎回はぐらかされる。
「その日は予定があって…」
「シフトまだ出てなくて…」
「熱が38.8度あって…」
デートの日程は決まらないけど
すぐ連絡は帰ってくる。
最初は「忙しいのかな」くらいに思っていた。
でも、何度か同じやり取りが続いた時、ふと思った。
「あれ、なんでこんなに決まらないんだ?」
今思えば、この時点で気づけたはずだった。
「僕に興味がなくなったわけではないのかな?」
「まあ、ダメだったとしても次行くしかないかー」
そうやって自分で言い聞かせながら
この違和感を無意識に避けていたのかもしれない
でもその時の俺は、まだ“都合よく考えていた”。
──そして、ようやく日程が決まった。
正直、少しホッとしていた。
ここまで来るのに、思ったより時間がかかっていたからだ。
「じゃあ当日どこ行く?」
何気なく聞いたその質問に、返ってきた答えは予想外だった。
「家でよくない?」
一瞬、意味が分からなかった。

まだ一度も会ったことがない。
画面越しでしか知らない相手。
それなのに、いきなり“家”
普通ならありえない話だと思う。
でもその時の僕は、どこかでこう考えていた。
「距離感近いタイプなのかな」
「むしろラッキーかも」
今思えば、完全におかしかった。
でも、あの時は――
その違和感よりも、“誰かと一緒にいたい”って気持ちの方が強かった。
だから僕は、深く考えずにこう返していた。
「いいよ」
この一言が、全部の始まりだった。


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