
突然、電話がかかってきた。
画面に表示された名前を見て、
少しだけ間が空く。
でも、出た。
「もしもし?」
「あ、久しぶり!」
その声は、あのときと何も変わっていなかった。
少しだけ安心する自分がいた。
少しだけ、拍子抜けもしていた。
しばらく他愛もない会話が続いたあと、
彼女がふと、真面目なトーンで言った。
「なんかさ…やっぱり、もどかしくて」
一瞬、言葉の意味を考える。
「自分から離れたのに、変だよね」
そう言って、少し笑った。
正直、よくわからなかった。
あんな終わり方をしておいて、
またこうして戻ってくる理由も。
でも——
深く考えるのをやめた。
特に何も聞かず、
特に何も責めず、
何もなかったみたいに。
それから、また連絡を取るようになった。
会うこともあった。
ただ——
前みたいな頻度ではなかった。
二ヶ月に一回くらい。
思い出したように連絡が来て、
なんとなく会って、遊んで
なんとなく時間が過ぎる。
特別でもなく、
でも完全に切れるわけでもない。
そんな距離感が、
いつの間にか当たり前になり
心地よく感じていた僕がいた。

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