
約束の日、僕は自宅の最寄りのコインパーキングに向かった。
「着いた!」
そう連絡を入れると、すぐに返信が来る。
「今行くー!」
数分後、彼女が車から降りてきた。
初めての対面。
画面越しで見ていた通りの顔だった。
むしろ少し大人っぽく見えて、「当たりかも」とすら思った。
「家に余ってた食材持ってきた!」
そう言って彼女が見せてきたのは、鍋の食材だった。
野菜や肉、スープまで一通り揃っている。
正直、かなり印象は良かった。
まだ会ったばかりなのに、ここまで準備してくれている。
気も利くし、ちゃんとしてる人なんだなって思った。
「ありがとー!助かります!」
その時の俺は、何も疑ってなかった。
むしろ、完全に好印象だった。
「一応確認だけどほんとに家で大丈夫?」
そう僕が聞くと
「ちゃんとしてそうだし私も気になってるから大丈夫だよ!」
そう言われて、僕も嬉しくなりそのまま家に向かう。
初対面で家に呼ぶのも普通じゃないし、
相手もそれを当たり前のように受け入れている。
今思えば違和感はあったはずなのに、
その時の俺は、それすら“いい方向”に捉えていた。

家に着いて、2人で鍋の準備をする。
自然と距離も近くなって、会話も弾む。
──でも。
ほんの少しだけ、引っかかるものがあった。
うまく言えないけど、どこか噛み合っていない。
気のせいだと思える程度の、小さなズレ。
でもその違和感は、時間が経つにつれて
少しずつ、はっきりした形になっていく。
そしてその時、僕は“あること”に気づいた。


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