出会い編「第五話」来るはずだった夜

出会い編
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あの夜が来るまでに、何度かデートを重ねた。

ご飯に行ったり、
他愛もない話をしたり、

普通に考えれば、
関係は順調だったと思う。

でも、今思えば

少しずつ、違和感はあった。

ある日、急に連絡が取れなくなったことがあった。

半日以上、既読もつかない。

何かあったのかと思った頃に、ようやく連絡が来た。

「ごめん、スマホ落としてめっちゃ焦ってた!」
「警察に届いてて助かった!感謝感謝!」

安心はしたけど、

どこか引っかかるものが残った。

でも、その時は深く考えなかった。

また普通に連絡を取り合って、
電話もして、

関係は続いていた。

だから——

あの夜も、何も疑っていなかった。

「20時着くらいに着くように向かうねー!!!」

そのメッセージを見て、部屋を軽く整えた。

19時を過ぎた頃、

「今家着いたー!」

そう送ると、すぐに既読がつく。

「風呂入ったら向かうねー!」

いつも通りのやり取り。

何も変わらないはずだった。

20時を少し過ぎる。

連絡はまだ来ない

でも、不思議と焦りはなかった。

(また何かあるのかもな)

あの“スマホ落とした日”が、頭をよぎる。

20時10分。

20時20分。

それでも、連絡は来ない。

さすがに少しだけ不安になってきた、そのとき——

通知が鳴った。

画面を開く。

でもそこにあったのは、

「向かうね」じゃなかった。

「ごめん…
今日会って話そうと思ったんだけどやっぱやめとく」

一瞬、意味が理解できなかった。

さらに続くメッセージ。

「人として好きだけど恋愛として見れなくて
なんかモヤモヤしてて、
だからもう会うのやめる!」

その文章を見たとき、

頭の中で、いくつかの点が繋がった。

あの日の違和感。

連絡が取れなかった時間。

なんとなく噛み合わなかった会話。

全部が、ここに繋がっていた気がした。

「本当楽しかったありがとう
そしてごめんね」

画面を閉じる。

さっきまで、
来るはずだった夜。

でも結局——

その夜、彼女は来なかった。

でも——

どこか引っかかっていた。

あまりにも急すぎる終わり方。

あまりにも一方的な言葉。

それでも時間は過ぎていく。

いつも通りの日常に戻るはずだった。

——そのはずだった。

数ヶ月後。

何気なくスマホを見たとき、

見慣れた名前の電話の通知が表示されていた。

一瞬、時間が止まった。

終わったはずの関係が、

また動き出そうとしていた。

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