交際編「第七話」荷物

交際編
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あの夜のあと、

また彼女は、家に来るようになった。

前よりも距離は近くて、

関係は、少しだけ良くなった気がしていた。

そんなある日、

彼女が言った。

「職場、異動になったんだよね」

社員寮を出ないといけないらしい。

「引っ越し大変だね」

そう返したあと——

少し間があって、

彼女は言った。

「もうこの家に住むわーー!!」

その言葉を聞いた瞬間、

ふと、前のことを思い出した。

連絡が取れなくなる前。

あの時も、似たようなことを言っていた。

でも結局、

あの時は——いなくなった。

だから今回も、

冗談だと思った。

なので僕は

「いいよー!」

軽く、そう返した。

一人でいるのも寂しかったし、

少し弱っていたのもあったと思う。

でもそれ以上に、

“適当なこといってるな”って、

どこかで決めつけていた。

数日後。

玄関のドアが開いた瞬間、

その認識は、崩れた。

彼女の後ろにあったのは、

明らかに多すぎる荷物。

キャリーケースに、大きなバッグ、

そして段ボール。

一泊とか、そういう量じゃない。

「ほら、ちゃんと持ってきたでしょ!」

そう言って、

彼女は少し笑った。

まるで、

信じてもらえないことを

最初から分かっていたみたいに。

その瞬間、

あの時の言葉と、

今の光景が繋がった。

——これは、冗談じゃない。

いや、

最初からずっと、

冗談じゃなかったのかもしれない。

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